
劇団には、いろいろな係が存在しています。
役者は舞台で主役として登場し、自分の役を演ずるのですが、その脚本を書くのが脚本家。
そして、演技指導を主に行うのが演出家ということなどは、誰しも知っていることだと思います。
それ以外にも、実はコアな役割を果たし、地味ながら言団運営を支えているエキスパートの人があります。
演劇ファンであり、演劇サイトでちょっと知られた程の私が劇団の仕組みについて詳しく書いていきたいと思います。
全体の話をまずまとめてみましょう。
劇団関連の役職を紹介!
まずは、演劇集団の主な役職をまとめてみます。
- 主宰…劇団の長であり、脚本家・演出家を兼ねていることが多い。
- 脚本家…文字通り、演劇の作品を書く。
- 演出家…役者に演技の指導をしたり舞台の運営を考える。
- 照明・音響…舞台上の光・音を担当する。
- 制作…チケット手配、広報、広告など、総務的に扱う。
こんな感じで、いろいろの人が関わりまして、劇団は運営されているわけですね。[ad4]
劇団の主宰とは?
劇団には運営責任者としての、座長=主宰などと呼ばれるトップがいます。
たいてい、主宰が脚本家・演出家などになっていることが多いです。
作演さんと呼ばれる、作・演出を担当しているパターンもあります。
(私が観たことがある、一番すごいパターンは、自身が作・演出で主宰を務めていて、その上 主役で出るという、かなり自己愛的なパターンも有りました)
まあ、それだけ実力がありましたら、何をしても許されるのかもしれませんけど…
脚本家は戯曲作品の基本骨格である脚本を作る人
詳しく書くまでもありませんが、脚本が無くては芝居は成り立ちません。
そして、優秀な脚本は観客も役者を含める演劇団体全体も楽しませることができます。
(役者が好む脚本と嫌われる脚本があり、作品数が演じられるにつれ、徐々に評価が変わっていきます)
小説には直木賞・芥川賞などの賞がありますが、演劇にも有名脚本家の岸田國士にちなんだ『岸田戯曲賞』など有名な賞も設けられており、脚本家の評価に繋がっています。
演出家は、作品全体の総監督である。
よく名前は聞きますが、何をしているのか良くわからない!役職として『演出家』というのがあると思います。
演出家は、要するに作品製作についての『総指揮者』みたいなものと考えてよいでしょう。
(映画で言えば、映画監督みたいなものと考えて良いです)
作品について、役者の動きを指導したり、音響・照明を指示したりして作品制作をつかさどる役割になります。
どの役をどの役者に担当させるかなどの『キャスティング』の権限もあり、作品制作の責任者ということになるでしょうか?
ということで、演出家が劇団を主宰していることがかなり多いこともうなづけるのですね。
↓観客が観劇の動機とするのは作品や役者だけではなく、誰が演出するかで決める人もあります!
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照明さんはライティングにスペシャリスト
照明さんは、舞台上の光を操作する専門家となります。
人手が足りない団体は、演出家が兼任していたりしますね。
舞台照明は大変奥が深くて、セピア色の舞台照明に切り替えると、ノスタルジックに懐かしい、昔の場面に替わった!ことが表現されたりします。
また、ちょっと変わったライティングだけで大笑いを取れることもしばしば。
同じ舞台美術(=舞台上のセット)でも、ずいぶんと印象を違えたりすることだってできるのですね。
専属の人がいることもありますが、音響さんと兼任だったり、外注さんだったりもあり得ます。
音響は舞台上の音をコントロールする専門家
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舞台上の『音』と言えば、音楽だけとは限りません。
早朝を意味する小鳥のさえずりですとか、
お寺の鐘の音を一つ『ゴーン』と上手に入れることができれば、大笑いを取ることだってできます♪
かなたの方から馬の蹄(=ひづめ)の音が近づいてくると、鞍馬天狗登場!
かなりスリリングな場面を演出することもできますよね!
ということで、音響さんは舞台作品に欠かすことができないプロフェッショナルということになるでしょう。
そして、音響さんは音楽作品やパソコンにも詳しいことが求められます。
作品に音を乗せるというと、以前はカセットテープで編集しておいて、再生することが主流でした。
ですが、今日的にはパソコンに音や音楽をインストールしておいて、必要なシーンにワンクリックで『ズバッ!』と入れていきます。
例えば、時代劇っぽいものですと、刀が『チャリン』と触れ合ったりするシーンがバッチリ決まれば迫力ある場面を演出することが可能となります。
そして、音楽も場面によってはとても重要になります。
(近年、音楽著作権の問題がクローズアップされてきて、好きなだけ音楽を入れることも難しくなってきていますが…)
音響さんは、音楽作品の豊富な知識があることが大切なのですが、ミュージシャンであることも少なくないのです。
というより、わかりやすく言えば、音響さんはミュージシャンの副業だったりすることも多いのです。
ミュージシャンなら、音楽作品も詳しいし大変ありがたいということになります。
制作は劇団の縁の下の力持ち
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公演をやることを中心に書いてきましたが、演劇作品は舞台に直接かかわる人だけでは成り立ちません。
観客が来てくれませんと、経済として運営が成り立たないことは明らかですよね。
ということで、公演について観客に広く知らせる『広報・宣伝』活動や、チケット販売などにかかわる『経営面』を支える人が必要になります。
当日の劇場は、単にチケットをもぎって観客を入場させればそれでO.K.というわけではないのです。
例えばチケット販売についてですが、指定席ですと、ダブルブッキングが発生しており座れない観客が出たりしたらどうする??
当日運営については、どうしても専門の係の人が必要となるのですね。
これらをつかさどる人が『制作』係となります。
↓公演の時間中に次の公演の下準備をしている制作さん
制作さんも、外注がありますが、演劇団体で専属の人を確保していたりします。
また、団体専属の制作さんは、役者などのメンバーの『困ったことの相談役』だったりもします。
頼れる人物が専属の制作さんであったりするとメンバーとしては、とても心強いことになりますね♪
去る団体では、制作さんが主宰の彼女的な人だったことがあり、スムーズにいくところもあれば、気まずいところもちょっとあったりしたそうです。
劇団関連の役職についてのまとめ
こうしてみると、劇団・演劇団体の内側がずいぶん見えてきたのではないでしょうか?
いろいろな役職があって、その人たちが協力して作品を制作して世に出すということですね。
そして、あまり知られていないけど、実は大変重要な役職となるのが『制作さん』ということになります。
作品の作風や傾向がどうの、というのはある意味趣味や芸術性にかかわる問題ですが、安定して安全な運営がなされているかどうかは制作さんにかかっていると言って過言ではありません。
ということで、できれば専属の制作さんがいて、広く全体を見渡して統括しているような団体が、将来的には良い団体ということになると思うのですね。